Evidence-Based Practice【第一博愛】

「科学的・論理的根拠基づく実践(介護・支援)」をEBPと言うそうです。(なぜか、横文字はカッコいい⁉)

 

最近、山愛施設長も理解してもらうのに苦労しているというような話になった時、飯田大輔さん(現、社会福祉法人 福祉楽団理事長)の『科学的な視点とは、一つひとつの介護行為に生理学などの根拠をもって臨むということ』という言葉が、また思い浮かびました。

 

私も推奨し続けていますが、当施設においても「一人ひとりに向き合う現場の支援員の実践」と「エビデンスを追求する研究の視点」には、まだまだ著しい乖離があります。

 

リハビリ(つながり訪問看護ステーション)に取り組むSさん

 

ある日のミーティングの一場面 ※理由と説明がGood jobだったので、記憶にも残っているし記録に残していた。

 

 

終礼時「食事中、利用者Aさんから話しかけられることを嫌がっている、利用者Bさん」について問題提起される。

 

食堂の座席変更が検討され、まずは、ケース担当T支援員が、その利用者Aさんの言動が気になりにくい移動先の座席候補をいくつか提示する。

 

その際、S支援員が、利用者Bさん⇆Cさんの座席交替を提案した際の理由(根拠)と説明

 

<利用者Cさんの座席に移動する利用者Bさんのメリット>

・仲のいい利用者さんの隣になることで会話等が弾み、利用者Aさんへの意識が薄れると考えられる。

 

<利用者Bさんの座席に移動する利用者Cさんのメリット>

・現在、Cさんの席は3人掛けの中央なので、両側に間違って座った際、利用者さんからきつく注意されたり、嫌がれたりすることがある。その点移動先は2人掛けの片方であるため、少しは間違えにくくなり、注意されることも減ると考えられる。

 

 

 

まさしく、具体的な根拠に基づき支援内容を決定する。

そして、統一した支援(実践)→ 観察 → 記録 → 評価し、中止・変更の必要性やもっと違う効果的な支援内容を考える

といったサイクルまで構築し実践していれば、パーフェクト

 

言っておきますが、その支援の工夫(座席変更)が成功したかどうかは問題ではありません。

もちろん経験からも、上手くいかないことが多いのですが、日頃の観察力(様子の記録)や専門知識を生かした根拠に基づいて仮説を立て、議論したかどうか? が大事なのです。

そのようなプロセスを経て決定した支援を、全てのスタッフが同じレベルで統一し実践することは「科学的介護・支援」と言えるのではないでしょうか。

 

リハビリ(つながり訪問看護ステーション)に取り組むMさんご兄弟

 

個人の感覚主義が優先されがちな、旧態依然とした社会福祉の枠に止まらず

『現場の支援員は、より客観的に研究者の目や福祉理論のトレンドを意識して』

『研究者は、より現場の事情や背景を理解して』と相互の視点を持ちながら、取り組んでいければ…