東大生・京大生に、この10年で1番読まれたベスト&ロングセラー『思考の整理学』の著者でもある外山滋比古さんが、1年ほど前に出版された本のタイトル
利用者支援の考え方において、一般論や経験論から抜け出せず、いいアイデアが浮かばない時や、つい熱くなってしまう自分をクールダウンさせる時に読み返そうと思っています。
そんな著者が厳選した発想力を鍛えるための150のヒントから、ほんのいくつかをご紹介
▷ひとり言
process 028 比喩で思考を節約する
遠いものを結び合わせて互いの中に潜在する類似に気づかせるのが想像力であるが、比喩は想像力の最も具体的な表出である。
すぐれた比喩は思考を節約する。一閃全貌をとらえる。
細かいところはとにかく、全体を把握するのに、これほど有効な方法は少なくないように思われる。
認識や創造の基本として見直されなければならないだろう。
▷聞き手に「なるほど」と分かってもらえるよう、例え表現(話)の使い手になろう!
think 049 書きなおしの手間を惜しまない
書きなおしの労力を惜しんではならない。
書くことによって、少しずつ思考の整理が進むからである。
何度も何度も書きなおしをしているうちに、思考の昇華の方法もおのずから体得される。
▷様々な記録類を再考し書きなおしてもらうことは、双方にとって時間と労力を要する作業ですが、正確性を求められているだけではなく、お互いの思考力アップにも影響していると思って…
chat 124 知性は“話しことば”に表れる
話すことは、読むことより容易であるように考えるのも、教育のつくり上げた迷信である。
何でも話せるわけではないが、文章にするよりはるかに多くの深いことを伝えることができる。
もちろん、愚にもつかぬ“おしゃべり”が多いけれども、本当の心は、文字ではなく、声のことばにあらわれる、ということを理解するのは、いわゆる教養以上の知性を必要とする。
▷インテリジェンスな話し方、説明の仕方をする人は、確かに話好きでおしゃべりだ!(ビアンにもいてるんやなぁ)共通して受ける印象は、その事柄についてよく勉強し調べているという点。
chat 133 コミュニケーションの多元性を確保する
おしゃべりは二人で成立する。しかし、二人では足りない。
三人寄れば文殊の知恵というように、二人より三人の方が知恵が出やすい。しかし、三人でもなお足りない。
五・六人が集まっておしゃべりをすると、多元的コミュニケーションが可能となり、おそらく最高の人知のあらわれる可能性が生まれるであろう。
コンピューターをいくら集めても、おしゃべりをさせることはできない。
▷オフィシャルな会議等での議論はさておいて、ちょっとした休憩時間や残業中に利用者さんや施設のことをよく話している職員は、スマホとにらめっこ職員より「他人の会話からヒントを得て、いいアイデアにたどり着く」といった思考回路が自然と鍛えられていくと思う。機械と違って感情的になることもあるが、人と人が関係して生まれる創意工夫は、AIに負けていない。
creation 136 話し聴く能力を育てる
近代教育は日本だけでなくどこの国でもリテラシー(読み書き能力)をつけることを主眼としていて、話し聞く能力はなおざりにされる傾向が強い。
後発の日本はそれが極端である。話し聴く教育は完全に欠落している。日本人はいつしか話し下手、聴き下手の文化をこしらえてしまった。
大事なことはすべて書きもの、文書などにしないと承知しない。これでどれくらい損をしているか計り知れない。
▷話し聴く能力を磨く方法はいくつもあると思うが、まずは「人に関心を持ち、人と話す」ことから始まるのではないだろうか。言うまでもないが、人は職員に限らず利用者さんもである。
発想力と思考力が同時に磨かれる1冊!