梅雨のとある朝に【山愛】

梅雨空続く出勤途中のいつもの朝。

某私鉄から地下鉄への乗り換えで、大きな人の波が激しく一方向へなだれ込む改札。
そんな激流の傍らに、人の波が収まるのをじっと見つめながら、流れの反対側の改札からの入場を待つ白い杖を携えた男子高校生を見つけました。

 

「入れないのだろうか?」

 

と思ったその時、私の数メートル前を歩くTシャツにジーンズの青年(大学生?)が、男子高校生に声を掛けました。

目が不自由であろう男子高校生は、声を掛けてくれた青年に“大丈夫”というジェスチャーを交えながら、笑顔で答えていました。

 

「日本の若者もまだまだ捨てたもんじゃないやん」とつぶやきながら「おっちゃんもがんばらねば」と思う私でした。