なぜ入所施設なのか【第一博愛】
知的障がい者や身体障がい者の入所施設の職員として働いた約20年を含め、現在も知的障がい者や自閉スペクトラム症の方々と接して36年になる著者が「施設と施設職員の擁護もするけど、自戒の念を込めて批判もしたいと思う。(文中引用)」という気概で書かれた個人の感想本だそうです。
「気持ちわかるわぁ」「本来そうあるべきやねん」などなど、共感&反省が交錯する“入所あるある”な話があり過ぎて…
紹介しきれないのが残念ですが、著者の気持が表れている部分を少しだけ
私と施設 ※一部抜粋(原文ママ)
僕にとって関わってきた入所施設は僕の一部を形成したものだ。
僕の経験であり、知識であり、思い出であり、得た社会性であり、僕の性格の一部を作ったもので、今の自分になった原因のひとつでもある。
得たものは大きくて多い。
その世界に飛び込んだことに後悔はない。
残念ながらやり残したことやできなかったことは多い。
いいことばかりではなかったけれど、得たものの方がはるかに多いと今は言える。
入所施設で僕は人間を学んだ。
人間で何かを学んだ。
第一博愛(入所施設)での勤務が20年6ヶ月、通所時代を経て現在4年7ヶ月で25年以上になります。
学生時代から目指した世界ではありませんが、私も似たような感覚はあります。
そして今も、利用者さんやこの施設に関わる人たちに支えられ、学んでいます。
最後に ※一部抜粋(原文ママ)
ワークライフバランスが叫ばれ、そのような考えが主流になっている昨今、その考えに少なからず違和感を感じてきた僕は本を書くことでその想いを吐露したいとも思いました。
今は、より利用者中心に近い職場で働けています。
幸せです。
家族の理解もあります。
こどもたちにも胸を張って生きています。
僕のワークライフバランスは今ちょうどいいです。
それもこれも入所施設というレアな世界で、運よく様々な経験を積ませていただいたからだと思い、感謝しています。
失敗や後悔を繰り返しながらも、決してビジネスライクな関わり方ではない距離感の近い付き合い方をしてきたと思われる著者の言葉だからこそ、私の心には響きました。